長崎の美味しい魚をもっと食卓に―梅のや 松﨑武久さんインタビュー

日本の歴史に根づく“魚食文化”

日本には、魚を獲る技術や処理、品質を評価する目利き、加工・保存の方法、調理道具や方法など、魚を中心とした食生活の中で受け継がれ、蓄積されてきた知恵や知識を総称する「魚食文化」が存在します。*1

特に長崎県に住む私たちにとって魚は身近な存在で、海面漁業・養殖業産出額は全国2位を誇り*2、水揚げされる魚の種類は250種を超え、全国1位といわれています。

一方、近年は「魚離れ」が進んでいると言われており、魚の1人あたりの年間消費量は平成11年以降は、ほぼ全ての世代で減少傾向にあるのが現状です。*3

魚離れに歯止めをかけるためには何が必要なのか。

魚食の現場を詳しく知るために、昭和60年の創業以来、長崎・茂木の地で長崎産の魚を中心とした一夜干しの製造・販売を手掛けている「株式会社 梅のや」の松﨑武久さんにお話を伺いました。


*1:「水産白書」(平成19年)水産庁
*2:「長崎県水産業の概要」(令和4年)長崎県水産部
*3:「水産白書」(令和3年)水産庁

 

【目次】

 

株式会社梅のやの松﨑武久社長

梅のやの経営理念
―梅のやの一夜干しで、日本人の魚離れを無くしたい。―

松﨑さん、漁業が盛んな茂木で製造・販売される梅のやの一夜干しにはどのような想いが込められているのでしょうか。梅のやの経営理念を教えてください。

松﨑さん:一番考えているのは、日本人の魚離れを無くしたいということです。私自身も茂木の漁師の家庭で生まれ育ち、食卓には必ずと言っていいほど魚が並んでいました。小さい頃からずっと食べてきた長崎の魚をもっとたくさんの人に食べてもらいたいですし、自分が食べてみて美味しいと思った商品を日本中、世界中に広めたいです。そして、梅のやの一夜干しを食べた人が「魚って美味しいよね!」「一夜干しって美味しいよね!」と言ってもらえるような世の中にしていけたらなと思っています。

梅のやの商品に対するこだわり
―1枚1枚手作り。無添加にこだわった魚の一夜干し。―

魚離れを無くそうとされる中で、どのようなこだわりを持って商品開発を行われているのでしょうか。梅のやの一夜干しのこだわりや特徴を教えてください。

松﨑さん:一番のこだわりは、化学調味料や保存料、着色料を使用せず、無添加にこだわった一夜干しを製造・販売していることです。私が社長になる以前から無添加にこだわった商品作りをしていて、長年食べ続けてくださっているお客様がたくさんいらっしゃいます。毎日食べるものは、体にいいものであってほしいとの想いで、商品を作り続けています。

無添加の一夜干しを製造するのは、手間暇がかかりそうですね。

松﨑さん:そうですね。調味料自体も厳選したものを使用しないといけないですし、商品開発当初はかなり苦労したと聞いています。無添加の商品を作りたいという想いで、たくさんの試行錯誤を重ねてやっと今の商品ができているので、いかにこの味を守りながら、効率や品質を上げていくのかというのが私たちの今の仕事です。決して大量生産はできませんが、1枚1枚に作り手の想いを込めて、全国へお届けしています。

 

徹底して清掃された清潔な工場で、一つひとつ手作りされる。

 

1枚1枚丁寧に作られていると思うと、食べる人も嬉しいし、安心感がありますね。梅のやでは鯵やさば、鮭などたくさんの商品を作られていると思いますが、人気の商品はありますか?

松﨑さん:一番人気は、さばの一夜干しです。さばは朝食にも、お弁当にも、夜ご飯にも、晩酌のおつまみにもなりますし、幅広い年代の方に召し上がっていただいています。

実は私も、このさばの一夜干しには思い入れがあるんです。私が18歳のときに、以前勤めていた会社で初めて物産展に出店した際、同じ会場に梅のやさんの商品を取り扱われている方がいらっしゃいました。当時お金のなかった私に「これ、食べなよ!」といって、その方が食べさせてくれたのが、梅のやのさばの一夜干しだったのです。それがとても美味しくて、「これ、どこのお魚ですか!?」と聞いたら、「これ、茂木で作られた一夜干しよ!」と言われて。まさか自分が生まれ育った茂木で作られたとは思わず、驚きました。その時の感動が忘れられず、長崎に帰ってきてからも自分で購入して食べていた思い出があります。

 

さばの一夜干しはこだわりの逸品
さば寿司も人気商品

 

梅のやの取り組み
―毎月届く、美味しい一夜干しの定期便。―

単品での販売だけでなく、定期便での販売も行っているとお伺いしました。定期便をご利用の方もいらっしゃるのでしょうか。

松﨑さん:そうですね。毎月3,780円のコース、5,400円のコースで、その時期に合わせて梅のやが厳選した商品をまとめてお送りしています。お客様には創業当時から定期便を利用されている方もいらっしゃって、お届けするのが100回目を超えるお客様もいらっしゃるくらいです。

100回も!すごいですね。

松﨑さん:本当にありがたいです。以前私がたまたま会社にいるタイミングで、従業員から「今回100回目のお客様に定期便を送るんですよ。」という話がありました。熊本のお客様だったので、それだったら直接お届けできるという話になり、実際に熊本までお届けしたことがあるんです。その際にお客様とお話をさせていただくことができたのですが、お子さまが添加物などへのアレルギーをお持ちで、たまたま何かいい食べ物はないかと探している中で、梅のやの商品を見つけて注文してみたことが始まりだったとのことでした。そのお子さまはもう中学生になったけれど、今でも食べてますよというお話を伺い、とても嬉しかったです。

また、定期便ではないのですが、物産展に出店した際に、普段は魚を食べない子どもたちのためにご両親が梅のやの商品をご購入いただいて家で食べさせたところ、美味しそうに食べたどころか、骨まで口に入れて、最後の最後まで食べて、「また買ってきて!」と言われて次の日にまたご来店いただいたというエピソードもありました。

 

梅のやの定期便3,780円と5,400円の2コースがある。写真は3,780円の詰め合わせ

 

とても心温まるエピソードですね。その他、工夫されている点などありますか?

松﨑さん:はい。梅のやでは、お客様ひとりひとりのカルテを作っています。せっかくだからたくさん楽しんでいただきたいと思い、毎回できる限り同じ商品が入らないように、カルテを見ながら商品を梱包し、お届けするようにしています。時期によって穫れるお魚が異なったりもするので、旬のお魚をピンポイントで入れたり、定期便を受け取ってくださった方が毎月喜んでくださる顔を想像しながらお届けしています。

私の同級生も定期便を利用してくれているのですが、「子どもたちが好きな魚があるから、これだけは絶対に入れておいてほしい!」とお願いされています。

それ以外にも、例えば「毎月1万円分の魚を送ってほしい」といったご要望にも柔軟に対応しています。

「梅のやのおまかせ定期便」を見る »
 

松﨑社長自ら物産展などの店頭に立つことも。

 

梅のやからのメッセージ
―お魚でもっと家族を健康に、幸せに。―

ここまでお話を伺っていると、確実に梅のやの一夜干しが魚離れの解消のためのかけ橋になっている気がします。最後に、記事をご覧になっている方へ、メッセージをお願いします。

松﨑さん:無添加にこだわったお魚の一夜干しを、たくさんの方に召し上がっていただきたいです。ご両親から、一人暮らしをしている娘さんや息子さんへ。逆に、お父さんお母さんやおじいちゃんおばあちゃんにずっと健康でいてほしいからと送る方もいらっしゃいます。

梅のやの一夜干しは、健康にいいというだけでなく、解凍せずに凍ったまま焼いていただくことができるので、簡単に美味しく魚料理を楽しんでいただけます。

食べた瞬間に思わず笑顔になる美味しいお魚を、皆様の日々の食卓に届け続けたいです。

 

株式会社梅のや

長崎県長崎市茂木町1251-3
TEL:0120-551-255
オンラインショップ:https://umenoya-mogi.co.jp/

Text: Keisuke Yoshimoto/Photo: (株)梅のや提供

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