秋の夕暮れ、長崎外海はどこか物悲しい。
高い空と雄大に広がる水平線が、タスクに追われる日常は何ら意味がないことを、暗に迫ってくるからかもしれない。
道の駅夕陽が丘そとめには、その美しい夕暮れ時を楽しみにしながら、ツーリングやドライブ、写真を撮る人たちが次々と集まってくる。
ひときわシャッターを切る女性がいた。
長崎市内から来たのですかとたずねると、そうだという。
「今日はチャンスかと思って…。」
外海の景色を切り取るのは難しい。
被写体が存在するようで、ある意味存在しないからだ。
この空と海の圧倒的な美しさを前にしては、全てが無になる。
それでも次々にその美しさに魅せられた人たちがシャッターを切る。
言葉にならない何かを捕らえようとして。