長崎を舞台にした長編映画を撮影して感動を届けたい。 ― 映画監督 野上鉄晃 インタビュー

「映像を撮っている時の現場の一体感が、この仕事のやりがいを感じさせてくれます。」

対馬で生まれ、長崎市内で少年時代を過ごした野上鉄晃は、高校を卒業後、オーストラリアなどを旅してまわり、映画監督を志すようになる。

2011年、ぴあやホリプロなどが主催する第33回PFFぴあフィルムフェスティバルで作品『PICARO』がPFFアワード2011に入賞。602作品から選び抜かれた17作品の中の一つだった。

PICARO/野上鉄晃監督 PFFアワード2011入賞作品

「結果を聞いた時は嬉しかったです。インディーズの監督はみんなまずは目指す場所ですから。実際、今活躍されている監督たちはおもしろいようにPFF入選者ですし、そういう意味でPFFの選考の確かさ・映画界への貢献度はすごいなと思います。ただ、やはり一番嬉しいのは見ていただいた方が直接、またはSNSなどで『よかったよ。』と言ってくれることです。」

エピソードを尋ねると、野上は大切なものを机の奥から引き出すかのように丁寧な口調で語りだした。

「特に印象に残っている忘れられない方がいます。彼女は『私の息子は中学生の時からずっと家に引きこもっていて、外に出ようとしません。もうだめかもしれない、と思う日の連続です。そんなある日、新聞の広告でたまたまこの映画を知り見に行ったのです。帰る頃には「もう少しがんばってみよう!」という気持ちになっていました。本当にありがとうございます。』という感想を伝えてくれたのです。私の方が感動し、本当に『PICARO』を作ってよかったと思いました。『見てもらうことで初めて映画は完成する。』と言いますが、その通りだと思います。」

野上の映像を見ていると緻密なカメラアングルやカット割り、映像の完璧さと美しさに引き込まれていく。

「撮り方によって、見る人の感じ方が変わってくるので、アングルなどは奥が深いんですよ。撮影前に絵コンテを書くなどしてできる限り決めておきます。優先すべきは役者の演技なのでその場で色々試すような機会は殆どないんです。それから映像は情報量が多いだけに、しっかりと筋の通ったストーリー性を持たせることができないとすぐに飽きてしまします。当たり前ですが、いいシーンが撮れても、ストーリーがつまらないとダメ。いつも苦心しています。」

野上は自分の仕事をどのように評価しているのだろうか。

「いつでも『もっとできたんじゃないか?』って思うんですよ。常に自分の仕事に満足はしていない。もっともっといいものを作れるように一つ一つの仕事を大切にしながら洗練され、成長していきたいですね。」

最後に野上にとって長崎と映画の関係について聞いてみた。

「県外から来た映画監督などは『画になるポテンシャルが高い』と言われますね。独特な地形から生まれる抜け感や積み重ねられた歴史の残像が長崎を魅力的にみせ、それが自然と映像に出るのだと思います。」

「今は長崎を舞台にした映画、特に長編映画を撮影して皆さんに感動を届けられたらと思っています。」

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ライター

久保 圭樹

ネットビジネスエージェント

久保 圭樹

Nagasaki365の企画・設計、Webデザイン、写真撮影などを担当。普段は企業のWebサイトの企画・設計、Web広告運用やWebマーケティングのコンサルティングなどを仕事にしています。

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